倒し屋・苗村修悟 児童養護施設で運命の出会い 平成のKOキング・坂本博之会長と目指す王者への道_スポーツ ナビ プロ 野球
東京・荒川区の西日暮里駅近くにある小さなジムから待望の日本ランカーが誕生した― 日本フライ級12位・苗村(なむら)修悟(30)。倒し道「平成のKOキング」坂本博之(53)が会長を務めるSRSボクシングジムの出世頭だ。屋・王苗村は坂本を慕って20歳の時にジムに入門。苗村命のと目スポーツ ナビ プロ 野球2人は児童養護施設で育ったという共通の過去を持つ。修悟「後楽園ホールのヒーローたち」第14回は、児童ジム開設15年目で初の日本ランカーとなった苗村に、養護で運坂本と目指すチャンピオンロードを聞いた。施設(取材、出会成の構成・近藤英一)=敬称略=
× × × ×
遅れを取り戻そうと来る日も来る日もロードワークをして、い平仕事をして、KOキング・へのジムワークをする。坂本博30歳になった苗村は、指す遊ぶことを忘れ、倒し道この3項目だけを繰り返す毎日を送っている。屋・王
「この5年間はボクシングのことだけを考えて生活してきました。苗村命のと目生活はぎりぎりですが、すべてはボクシングのためですから」
単純な毎日。それでも充実感がある。20歳で坂本を慕ってジムに入門したが、練習のために、スポーツ ナビ プロ 野球付き合いだしたばかりの彼女との時間を削られるのが嫌だった。「ボクシングを辞めよう」。ジムにはすぐに行かなくなった。それから3年。彼女と別れ、何もすることのない自分に嫌気がさした。
「もう一度、ボクシングにチャレンジがしたい。坂本会長の下で頑張りたい」。一度は投げ出したボクシング。それでも恐る恐るジムに顔を出すと、そこには3年前と同じ風景があった。坂本からかけられた言葉は今でも鮮明に覚えている。
「おー、来たか。待ってたぞ」
涙をグッとこらえた。何も言わずにジムを飛び出し、文句のひとつも言われて当然だが、温かい言葉が待っていた。「神様って本当にいるんだ」。当時23歳、心を入れ替え25歳でプロデビューした苗村だが、“神様・坂本”との出会いは小学校6年、12歳の時だった。
苗村は生まれてすぐに母親が病気で子供2人を育てられないという理由から、双子の兄と乳児院に預けられ、2歳から18歳まで千葉・旭市にある児童養護施設「滝郷学園」で育った。父親に会ったことは一度もない。小学校低学年時の夏休みには母親と会っていたが、会話した記憶はない。それでも母親と暮らすことを願い、周囲に伝えたが、その願いは最後までかなわなかった。
「母親が自分と会ってもしゃべらないので、小さい自分は何をしゃべっていいのか分からなかった。母親にどう接していいのかも分からず、お互い感情がなかった。最後に会ったのは17歳の時。祖父の葬儀で喪主を務める母と会いましたが、自分が息子だということに気づいていなかった。会話もなかったです」
そんな幼少期を過ごした苗村の前に坂本が現れたのは12歳の時。自らも児童養護施設で育ち、4度の世界挑戦を経験した坂本は、引退後に全国の施設を周り、園児に夢の大切さを伝えるボランティア活動をスタートしていた。2007年3月19日、滝郷学園の卒園式に招かれて講演、ボクシングセッションとしてミット打ちをしたのが2人の出会いとなった。
「自分と同じ施設育ちで元プロボクサー。どんな恐ろしい人が来るのかとビクビクしていたんです。それがいざ会ってみたら、優しくて自信に満ちあふれている人で、漫画のヒーローみたいにオーラが出ていた。自分が思い描いている施設の先輩とは大違い。当時、強さに憧れがあったのでなおさらでした」
グローブを握ると坂本の構えるミットめがけて思い切りパンチを打ち込んだ。坂本からはこんな言葉が返ってきた。
「いいパンチ打つな。ボクシングやったことあるの? センスあるから、(ボクシングを)やりたくなったらおいで」
褒められた経験の少ない少年には極上の言葉だった。そして一枚の名刺を渡された。坂本の肩書は引退直後で会長ではなく、元所属先のトレーナーだった。その名刺は真っ茶色に変色する23歳までの11年間、苗村の財布の中に大事にしまわれていた。
「23歳の時に仕事先で(財布を)盗まれたんです。あの名刺が無くなったことは本当にショックでした」
ボクシングをやりたくても当時の施設の生活は「すぐにやりたいことができる環境にはなかった」。18歳で卒園すると地元の水産加工会社に就職。2年間で150万円をため、会社の先輩にプロボクサーになりたい気持ちを打ち明けた。坂本に名刺をもらったことを告げると「めちゃくちゃ有名なボクサーだぞ」と先輩は夢への背中を押してくれた。一緒にジムまで足を運び、プロ志望であることを伝えてくれた。
アマチュアでの経験がない中、25歳でのプロデビュー。遅いと思われて当然だが、その遅れを猛スピードで取り戻している。ファイトスタイルは打って、打って、打ちまくる。10戦8勝(8KO)2敗。戦績が示すように勝ちはすべてKOという倒し屋。乱打戦に引きずり込み、強引にパンチを打ち込む。そのスタイルは一見、破壊力満点のフックで対戦相手をねじ伏せてきた坂本に通じるものがある。が、考え方は変わりつつある。昨年10月のフー・ロンイー(中国)とのフライ級8回戦。打ち終わりをことごとく狙われ、初めて痛恨のTKO負け(3回)を経験した。
「打った後に同じ位置にいないで頭や体を動かす。パンチはコンパクトに、ディフェンスを意識」打つことばかりの考えを改めた。さらに「どんな時でも冷静でいられる心。ジムの座右の銘でもある『不動心』でいられるか」と、熱くなる中でも冷静さを保つメンタルの強さを求めた。その効果か、6月の再起戦は初回TKOという内容で勝利を飾っている。
師弟の絆はまさに「不動心」にある。苗村がジムの座右の銘と口にした「不動心」は、坂本が現役時代からモットーとしているものだ。偶然にも苗村が育った「滝郷学園」の座右の銘も「不動心」。坂本が同園を訪れた際、石碑に刻まれた「不動心」の文字を目にして驚き、何か特別な縁を感じたという。
熱くなり過ぎずに冷静に戦うことを心がける苗村だが、そのファイトは正直、荒々しい。それは心の奥底に宿った反骨精神が少なからず関係しているようにも思える。施設での生活では当時、先輩からこう諭された。
「一般家庭の子供たちは親から、施設の人間とは付き合うな、関わるな、と言われている。だからこそ一般家庭の人間にはなめられちゃいけないんだ」
色眼鏡で見られることが悔しかった。見えない境界線が嫌だった。だからこそ、負けたくない、強くなりたい、という気持ちは人一倍強い。その荒々しいファイトスタイルこそが、苗村の心の叫びに思えてならないのだ。
坂本はジムにいる人間をファミリーと考える。その中でも苗村には特に運命的なものを感じている。「小学生の時に施設で名刺を渡して、それを頼りに8年後の20歳の時に自分を訪ねてきてくれた。普通の出会いじゃないよね」と笑う。一度は裏切るような形でジムを離れた苗村が戻ってきた時には「本当にうれしかった」と喜ぶ。何に悩んでいるのか、何を求めているのか。同じ境遇で育った人間だからこそ、分かり合える部分があるのだという。
どんなボクサーになりたいか―。苗村は迷わず言った。「目指すのはチャンピオンですが、お客さんを熱くする選手になりたい。毎試合、これが目標です」と。望むものはファンを熱狂させるファイト。それは現役時代の坂本の姿にダブる。映像でしか知らない苗村はこう続けた。
「もちろん会長のような選手になりたい。ボクサーとしてもそうですが、一人の人間としても尊敬していますから」
家族という存在に憧れ20代前半までは家庭を持つことに強いこだわりを持っていた。それが今では「その気が無くなりました。今はボクシングに集中です」。坂本と密接に過ごしたプロデビューからの5年間は、人生の方向性を決める重要な時間となった。10月8日(後楽園ホール)、富岡浩介(RE:BOOT)を相手にプロ11戦目となるフライ級8回戦を行う。アマ経験者が当たり前になりつつあるプロの世界で、20歳からグラブを握った純度100%のたたき上げボクサー。
「アマチュア経験者のようにきれいでスタイリッシュなボクシングは出来ない。だから気持ちで戦うんです」
荒々しく、自分らしく。熱いリングに期待したい。(近藤 英一)=敬称略
◆苗村 修悟(なむら・しゅうご)1994年9月1日、千葉県松戸市生まれ。20歳の時にSRSボクシングジムに入門。2019年9月に1回TKOでプロデビュー。翌年、東日本新人王決勝戦で宝珠山晃(三迫)に判定負けしてプロ初黒星。2024年7月にフライ級で日本ランキング入り。戦績は10戦8勝(8KO)2敗。身長160センチの右ファイター。
続きを読む(责任编辑:ホットスポット)
- 「ルパン三世 カリオストロの城」全国でリバイバル上映、宮崎駿の映画初監督作
- ファーストサマーウイカ、元を取る買い物の仕方明かす「10万円のコートも10年着たら1年1万円やなって…」
- 37歳・深津旭弘「もっとうまくなりたい。まだまだ成長できる」パリ五輪を経て合流…バレーボール10月開幕の新リーグへ
- 井上尚弥、次戦はXmasイブVSグッドマンが濃厚もアフマダリエフが横やり「準備はできている」
- 久保建英、得点以上に目立った黒子役のプレー「大人になったっていうのが1つ…」“久保節”で理由を説明
- 新日本プロレス・飯塚高史、「引退試合」から5年ぶり復帰「登別ランボー参戦」…9・14登別市総合体育館大会
- 「Aランクパーティ離脱」TVアニメ化、来年1月より連続2クール ユーク役は峯田大夢(動画あり)
- 高橋藍、23歳の誕生日を迎え「もっと強くなれるよう」更なる飛躍を誓う!世界中から祝福コメント続々
- 森保ジャパン、従来の4バックか攻撃的3バックか…「両方持っているのはすごくいいこと」5日中国戦
- 小泉進次郎氏、総裁選出馬表明会見「日本の産業を一本足打法から二刀流へ」
- 【巨人】グリフィン、4回に先制を許す オスナに16号2ラン被弾
- 映画「エイリアン:ロムルス」イベントで金属バット・友保隼平「今作は幕の内弁当みたい」PR
- 茂木敏充幹事長が総裁選へ 増税ゼロ&政策活動費の廃止を約束も、党内からは「無節操だ」批判続々
-
琴桜は平戸海の挑戦を受ける 貴景勝は御嶽海との元大関対決…大相撲秋場所初日の取組
琴桜は平戸海の挑戦を受ける貴景勝は御嶽海との元大関対決…大相撲秋場所初日の取組2024年9月6日 11時28分スポーツ報知日本相撲協会は6日、東京・両国国技館で秋場所8日初日)の取組編成会議を開き、初 ...[详细] -
札幌、横浜FMに大敗 前半に退場者出て6失点の悪夢 ペトロヴィッチ監督「苦しい展開」…ルヴァン杯準々決勝第1戦
札幌、横浜FMに大敗前半に退場者出て6失点の悪夢ペトロヴィッチ監督「苦しい展開」…ルヴァン杯準々決勝第1戦2024年9月4日 22時47分スポーツ報知◇ルヴァン杯準々決勝第1戦▽横浜FM6―1札幌4日 ...[详细] -
久保建英、代表復帰の伊東純也、三笘薫のサポートを約束「(2人とも)復帰戦なのでしっかりいいプレーができるように」
久保建英、代表復帰の伊東純也、三笘薫のサポートを約束「2人とも)復帰戦なのでしっかりいいプレーができるように」2024年9月4日 21時38分スポーツ報知サッカー日本代表が4日、26年北中米W杯アジア ...[详细] -
久保建英が初戦必勝宣言「勝って当たり前とファン、サポーターの皆様には思ってほしい」5日にW杯最終予選の中国戦
久保建英が初戦必勝宣言「勝って当たり前とファン、サポーターの皆様には思ってほしい」5日にW杯最終予選の中国戦2024年9月4日 22時18分スポーツ報知サッカー日本代表が4日、26年北中米W杯アジア最 ...[详细] -
プロ9年目の大出瑞月が223戦目で初Vの好機「したらやばいというマインドです(笑い)」
プロ9年目の大出瑞月が223戦目で初Vの好機「したらやばいというマインドです笑い)」2024年9月6日 15時39分スポーツ報知◆女子プロゴルフツアーメジャー第2戦ソニー日本女子プロ選手権第2日6日、 ...[详细] -
殺しのエリート小学生、元伝説の殺し屋相手にどう立ち回る…?「さらしもの」1巻
「さらしもの」1巻大きなサイズで見る殺し屋事務所のボスの息子として生まれ、あらゆる殺人術を叩き込まれてきた小学4年生・丸岡マルク。子供だからこそターゲットを油断させて簡単に殺すことができると、ボスであ ...[详细] -
【阪神】木浪聖也が2夜連続で“満塁男” 今季満塁時は打率5割7分1厘、15打点
【阪神】木浪聖也が2夜連続で“満塁男”今季満塁時は打率5割7分1厘、15打点2024年9月4日 19時54分スポーツ報知◆JERAセ・リーグ阪神―中日4日・甲子園)阪神・木浪聖也内野手がまた“満塁男” ...[详细] -
JO1與那城奨「全力で暴れます」INI、DXTEEN、ME:I、IS:SUEが来年1月、東京ドームシティ“ジャック”
JO1與那城奨「全力で暴れます」INI、DXTEEN、ME:I、IS:SUEが来年1月、東京ドームシティ“ジャック”2024年9月5日 5時30分スポーツ報知JO1、INI、DXTEEN、ME:Iミー ...[详细] -
最終予選1号はキャプテン遠藤航!「準備していた形」で決めて大量7得点の口火を切り「素晴らしい試合」とかみしめる
最終予選1号はキャプテン遠藤航!「準備していた形」で決めて大量7得点の口火を切り「素晴らしい試合」とかみしめる2024年9月6日 5時5分スポーツ報知◆北中米W杯アジア最終予選第1戦日本7―0中国5日 ...[详细] -
ファーストサマーウイカ、元を取る買い物の仕方明かす「10万円のコートも10年着たら1年1万円やなって…」
ファーストサマーウイカ、元を取る買い物の仕方明かす「10万円のコートも10年着たら1年1万円やなって…」2024年9月4日 22時26分スポーツ報知女優でタレントのファーストサマーウイカが4日放送の日 ...[详细]
- 玄関がダンジョンに繋がってる問題物件に住む男性の部屋、異世界人の休憩所に
- 年齢にビックリ!「若々しいです」Mieko、イメチェン姿が大絶賛「お顔小さい」「かわいいもんなー」
- 久保建英、代表復帰の伊東純也、三笘薫のサポートを約束「(2人とも)復帰戦なのでしっかりいいプレーができるように」
- 上地結衣、パリパラで銀メダル以上確定 フルセットの熱戦制し、2大会連続決勝へ
- 山下美夢有 65の猛チャージで暫定2位浮上 前半4連続バーディーも満足せず「パターとアプローチでしのげた」
- 島崎遥香、“ぴちぴちピッチカフェ”でのキュートなショットに「安定に可愛い」「癒されるわ~」の声
- 37歳・深津旭弘「もっとうまくなりたい。まだまだ成長できる」パリ五輪を経て合流…バレーボール10月開幕の新リーグへ